汚れなき悪戯 <午前十時の映画祭>
クリスマス・ウィーク 第1弾!
神に愛された孤児マルセリーノのお話です。
このクリスマスに神の奇跡に触れ、心洗われるような涙を流したいたい方は、是非、どうぞ。
日本公開は57年、モノクロのスペイン映画です。
この映画、ほぼ35年越しの思いが叶って、初めて観ました。
小学生の頃、隣家の酒屋のお兄ちゃんが、配達の合間に、大好きな映画の一つとして話して聞かせてくれた時から、ずっと片思いしてました。
何故か、レンタルでも観る機会がなかったんですね。
映画館、それもフィルムで観ることができて、ほんとによかったです。
スペインの片田舎、貧しい村の外れに、12人の修道士が暮らす修道院がありました。
ある日のその門の前に生まれたばかりの男の赤ちゃんが置き去りにされていました。
その日が聖マルセリーノの日であったことから、マルセリーノと名付けられます。
12人の父親の愛を一身に受けて、すくすくと純真無垢な悪戯っ子に育ちますが、
5歳に頃、たまたま、家族ずれの旅行者が馬車の修理に修道院を訪れたことから、誰にも母親や友だちがいるということに気づきます。
いつしか、架空の友達を作りだし、二人で遊び始めたことから、修道資たちもマルセリーノに取って足りないものに気づき始めます。
そんな頃、修道士たちはマルセリーノの悪戯を心配して、農具がしまってあり危険な2階の部屋には、「巨人が居て、さらわれるから行ってはいけない」と禁じていました。
架空の友達に勇気を得たマルセリーノは、気になって気になって仕方のない2階についに足を踏み入れます。
この後、ネタばらしになっちゃいますが・・・。
そこには、十字架にかけられたイエス・キリストの像がありました。
幼いマルセリーノはそれを巨人と思い込みます。しかし、やせ細った巨人を見ているうちに「お腹が空いているに違いない」と考え、台所からパンやワインを盗み、巨人の元に運び始めます。
これが、原題の「パンとワインのマルセリーノ」の由来です。
巨人は、怖れずに、自分のためにパンとワインを毎日運び続けるマルセリーノに感謝の印に願いを叶えると約束します。
マルセリーノが望んだのは、天国にいる自分の母親に会うことでした。
神に愛され、イエス・キリストの像に抱かれ、天に召されていくマルセリーノを修道士たちは、愛の奇跡として見届け、村人に伝えていきます。
その時から、この奇跡が起きた日は「パンとワインのマルセリーノ」を祝う、村の祭日となりました。
クリスマスに「愛の奇跡」の映画、如何でしょうか。