情婦<午前十時の映画祭>
アガサ・クリスティーの「検察側の証人」が原作の法廷サスペンスです。
私が尊敬してやまないビリー・ワイルダー監督が、物語のスピードが終盤に向けて、どんどん加速するという、職人的な技で演出しているモノクロ作品です。
主演はチャールズ・ロートン、法廷弁護士のウィルフリッド卿。
(と、私は思っているのですが、チラシもタイトルもタイロン・パワーの名が先なんですよね。)
共演は、クリスチーネ役のマレーネ・ディートリッヒです。
(タイロン・パワーも入れるべきなのでしょうか、あくまでも私の印象を優先してます・・・(笑))
日本公開は1958年。
原作は有名ですし、サスペンスなので、あまりストーリーには触れませんが、
エンドタイトルに、「まだ、観ていない方のために結末はお話しにならないでください」というテロップがあり、
最後のどんでん返しが、如何に当時の観客を沸かせたかが、推測されます。
このテロップ、「猿の惑星」(1968年公開)のときもありましたね。
確かに、ラストは当時、かなり衝撃的なものでした。
この映画の立役者は、やはり、マレーネ・ディートリッヒであると思います。
是非、ご注目を。
しかし、いかんせん、この手の映画は演出がものを言いますねぇ。
最近の映画に慣らされてしまっているためか、出だしは、あまりのスピード感のなさに、うっかり寝てしまいそうでした。実は、映画館のそこかしこで、いびきやら寝息が聞こえてきたりしていて・・・。
それが、終盤に向かうスピード感を増幅させて、最後は、ホンと、息つく暇もないような緊迫感まで持っていってくれます。
映像で脅かすスピード感ではないところが凄い! と、思います。
さすが、ビリー・ワイルダー。