まぁ姉の My favorite things

きものと歌舞伎をこよなく愛する麻亜家の 麻亜 (まあ)です。 日々の暮らしの中のささやかな幸せ、発見、驚き、装い、想い、・・・そして小さなつぶやき(笑)。 お時間が許しましたら、どうぞ、お付き合いくださいませ。

通し狂言 平家女護島 国立劇場 芸術祭参加作品


10月の国立劇場は芸術祭主催作品。
23年ぶりの通し狂言での「平家女護島(へいけにょごがしま)」の上演です。
初日には皇太子ご夫妻が臨席されました。

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実は、正直なところ「俊寛」はあまり好きなストーリーではありません。
俊寛の切ないほどの未練が・・・若い頃は理解できず、上辺だけ見て、「未練たらしい男だなぁ」と(笑)。

その後、吉右衛門丈、勘三郎丈、芝翫丈と、さまざまな方が演じられるのを何度も観て、
良さは分かるようになったつもりです(笑)。
最後のシーンなぞは、思わず何度観ても涙してしまうほどなのですが、
好きか、嫌いかと言われたら、結局、未だに、あまり好きではありません(笑)

それでも、今回、観に行かねばと思ったのは、
通し上演で「俊寛」の前後のお話も加えられていて、芝翫丈が平清盛役と二役であったり、
物語が深まることで、今までとは違う何かがあるのではないかと考えた末のこと。

やはり、通しで観て良かったです。

芝翫丈も俊寛と相対する敵役の清盛役の二役は、
役者として切り替えが大変ではないかと思いましたが、
どちらも素晴らしかったです。

俊寛は昨年のNHKホールでのものよりずっと進化していると感じましたし、
清盛の件を加えることで、俊寛の悔恨、諦め、未練が一層際立ちました。

また、清盛の最後のシーンはまるでファウストを観るようで、
世界の全てを手に入れたはずの男が滅びていくのは、ただの敵役に終わらせない迫真の演技がありました。

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橋之助くん、福之助くんも大きな役どころで、
特に、福之助くんが演じた有王丸の殺陣はなかなか魅せられるものがありました。


この機会に、是非、是非、通しの「平家女護島」をご覧いただければと、
お奨めいたします。