きもの美 選ぶ眼 着る心 白洲 正子・著 光文社知恵の森文庫
「きもの美」は、白洲正子さんが銀座の「こうげい」を引き継いだときのエピソードを中心に、きものの美しさやその歴史、日本人の心などについて、そのお考えをまとめたものです。
きものに関する知識や、「伝統」についての考察など、教科書のように、蛍光ペンを手に、貪り読んでしまいました。
このような先駆者たちのお陰で、「きもの」は現代でも、生き続けているのだ感じました。
「教えられなくても、反撥しても、いつの間にか影響を受けている」
「人為的に守っていくものが伝統ではありません」
「きものは、着たときの美しさ、ぬいで衣桁にかけた時の美しさ、その両方が要求されます。実用と鑑賞を兼ねなくてはなりません」
など、普段から漠然と感じていたことを、過不足なく文字で表現していただいたようで、気持ちよく、腑に落ちてきて、私の「きものバイブル」の一つになりました。
もう一冊、「中原淳一 きもの読本」は、時、同じくして、会社の先輩が「復刻版を見つけたから」と言って、貸してくださったものです。
白洲正子さんに通じるものも多々あり、やはり、日本人として「きもの」は、たとえ洋服の着こなしのことであっても、その奥底に脈々と影響を残していることを感ぜずにはいられません。
「そういうものだけが「伝統」といえるのでしょう」(白洲正子)