八月納涼歌舞伎 第一部
歌舞伎鑑賞は七月がお休みだったので(もちろん私的にですが・・・)
堰を切ったように、歌舞伎座通いしています。
実に先週は歌舞伎週間でした(笑)。
三部に引き続き観に行ったのが第一部。
谷崎潤一郎の原作の『恐怖時代』は三十数年ぶりの上演で、
登場人物のほとんどが最後は殺されてしまう、死んでしまうという物語。
お家騒動ものなのですが、
お決まりの残忍な殿様に、お家乗っ取りをたくらむ家老と側室、
そこに、お家のために諫言する忠義の国元の家来と御小姓、
茶坊主がからむといった、ストーリーとしては大変わかりやすいもので、
こうなると、やはり自然に演出に目が向きます。
贔屓の橋之助丈のお弟子さんの橋吾さんのブログに、
毎日、襦袢に付いた血糊の洗濯をしている様子がUPされていて、「一体、どんなでしょう?」と
心配しておりましたが、
切られるシーンも血が流れるシーンも綺麗な演出でした。
殺されるシーンが美しいなんていうのは、不謹慎なのかもしれませんが、
実にきれいです。
特に歌舞伎の女形は、「いかに魅せながら殺されるか」というのが信条と言われていますが、
谷崎文学と相まって、耽美な仕上がりに感心しました。
こうなると、久々に「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」の八ツ橋を観たいなぁなんて・・・
「盟三五大切(かみかけて さんご たいせつ)」の小万も・・・。
美しい女性はそれが殺される時でさえ、美しいのです。