喫茶去(きっさこ)
お茶のお稽古を初めて1年余り。
先生のご指導、高弟のみなさんのご助言、姉弟子たちの励ましで、
この5月の終わりに、
大和の慈緑庵にて、立礼のお席でお点前デビューを果たしました。
至らぬことが多く、反省は尽きませんが、お客様のおもてなしだけに集中していた一日は達成感も大きく、その余韻はしばらくの間、私を気持ちよく包んでいました。
お茶席までの数か月は、準備のために、詰めてお稽古をしていたのですが、6月は仕事の都合でお休み。ひと月離れてみると、7月のお稽古はずいぶん久しぶりのような気がして、お点前を順序を思い出せるのか、少し心配するほど、お茶のことを何も考えなかった不思議な期間でした。
先生からは、夏らしく、ゆかたで冷茶のお稽古をしましょうと連絡があり、新調したゆかたが、その前日に丁度届いたので、早速、着ていくことに。
雪輪と瓢箪の柄に博多織りの名古屋帯。
雪輪はお稽古している江戸千家の紋でもあり、正式なお茶席では、雪輪の紋が入った紫の袱紗を使います。
この日のお軸は、タイトルにもした「喫茶去(きっさこ)」。
お客様の貴賤や性別など、何も問わずに、
誰に対しても、同じく「どうぞ、お茶でも召し上がれ」と言える無心の境地を顕す禅の言葉です。
私は邪念ばかりで、無心でお茶を点てるなんて、一生できそうにありませんが、
先生は、向付と一献をご用意くださり「今日は喫茶去にしました」と社中の皆さんをもてなしてくださいました。
涼しさを演出したお道具とギヤマンの水差しからすくった氷水で点てたお茶は、蒸し暑い日が続くこの季節には格別で、とても楽しいお稽古となりました。
せっかくなので、この夏、どなたかに、冷茶を点てるチャンスがないかしらとワクワクしています。